2013年5月15日水曜日

印象派たちの光と色~ルーアン モネの大聖堂

フランス北部・ノルマンディーのルーアンを訪れている。南のアヴィニヨンからTGVに乗り、パリでサン・ラザール駅発の急行に乗りかえて5時間あまりの列車の旅。サン・ラザール駅もクロード・モネが描いたことで知られる。プロヴァンスの青空はパリに近づくにつれどんより曇りがちになり、ノルマンディーに着くころは小雨。5月も半ばだというのに気温は日中でも15度程度で、冬の寒さがまだ残る。フランスは広い。

ルーアンに来た最大の目的は、モネが30点以上も描いたノートルダム大聖堂を見ること。本当は、太陽が出ていればその光の移ろいを観察したかったところだが、晴れる様子はない。

今までモネの絵でしか見たことがなかった聖堂は、カメラのファインダーには全ておさまらないほど高く、大きかった。モネは聖堂の向かいにアトリエを借り、そこから聖堂を写生したらしいが、モネのキャンバスにも聖堂の全体像はおさまり切っていない。それは見たままの姿だったのかもしれない。

モネの絵からは想像していなかったのは、ファサードには実はものすごく細かいディテールが施されていること。その緻密さたるやガウディのサグラダ・ファミリアを思わせる。一部は改修中で覆いがかかっていたが、そんなことが気にならないほど惹きつけられてしまった。

光を映すスクリーン代わりにモネが選んだ聖堂は、ただの平坦な壁とは違い、相当に複雑な光と影を織り成していたであろう建物、というよりむしろ彫刻、だった。だから30点以上描いても飽き足らなかったのかもしれない。

オルセーで絵の実物を見るのが一層楽しみになった。